『殺陣(たて)』は、舞台・映画・テレビドラマなどで披露される、
俳優の肉体または武器を用いた格闘場面ならびに一連の動作の事である。
広義に解釈すると現代劇・時代劇の区別や、使用される道具に指定はないが、
一般的には時代劇における、日本刀を用いた剣戟場面を表す時に用いられる用語である!


………今回の舞台『朝風』には、そんな殺陣のシーンがふんだんに盛り込まれていたっ!
殺陣は、そのデキ次第で、作品全体を大いに盛り上げる効果がある、
のだが、そこはすごろく!ただで済むハズがない!!色々出てきた珍事件

それではいってみよー!!


スクープ  武人、斬られる!!

それは、10月28日(土)19時の回。その場面は、尾上(松本)武人に対し、
剣と言うのはあまっちょろいものではないという事を教えるシーン。
徹底的に追い詰め、追い込んでいき、最後に首元へ刃を突きつける。という殺陣だったのだが……。
今回、Wキャストという関係上、この回の武人・坂戸は公演二日目。
順調に殺陣をこなしていたのだが、二度目ということもあり、
多少、緩んでしまったところもあったのだろうか。最後の最後、刃を突き付けられるところで…!!




緊張感のあるこのシーン。
一瞬の緩みが……

 「チクッ」 「あっ」
斬られた!確かに斬られた!!しかし、お客様には遠いから分からないハズ……。
ところがその瞬間、最前列より
「今、斬ったよね」
「うん、斬った」
なんと言うことだ!最前列のお客様にはバレていた!!
ただ、あまりにビミョーだった為、その場の二人は何事も無かった様に話を進め、
いつもの様に無事終了。事なきをえたのだった。
坂戸氏曰く「いや〜、あの後のシーンから、首にキズの痕付けて出よーかと思ったッスよー」
との事。楽天的なコメントである。
だが、もしあの場で武人が死んじゃってたら………。
考えただけでも恐ろしい。いや〜、良かった良かった…。



スクープ  尾上(も)斬られる!!!!

なんと!アノ尾上も斬られていた事がこの程判明した!!
それは、10月28日(土)14時の回、なんと、先ほどのスクープ1武人・斬られる!!の前の回である。
しかもリサーチによると、全く同じ場面だった事が分かった!
この回は椎橋が武人役の回。そう、彼も二日目だった…。
やはり同じ様に武人を追い詰め、首元に刃を突き付ける…と、
この直前、尾上は武人の手を掴み、武人の刀を地面に落とすという殺陣がある。
それまではやはり順調に殺陣は進み、尾上武人(椎橋)の手を掴み刀を
地面に落としたその刹那!




松本さんの足下にご注目!
この刀が見事に……。

「さくっ」 「あっ」
あぁっ!!なんと言うことだろう、落ちて跳ねた刀が尾上の足を
ちょこっとだけ斬ったではないかっっ!しかし、芝居は続いている。
逆にこの殺陣のメインは、首元に刃を突き付けられた武人尾上の為、
絶対、お客様の集中もそちらの方に……
「今、足斬れたよね」
「うん、斬れた」
あぁぁぁっ!またも最前列から非情な声がっ。
いや、厳密に言えば、これがスクープ1より先なのだが、こんなアクシデントが起こっていたとは…。
のちに伺うと、松本氏曰く、この事は『無かった事』にして話を進めたそうだ…。
う〜ん、真実は小説、いや、台本より奇なり。

実は尾上様は、もう一箇所、斬られてしまった場面がある。
それは、今回の楽屋日記内『チクリ箱プレゼンツ・紅白ヤッちゃった合戦』をご覧下さい。


他にも、細かいところでは色々と事件が起きていたらしいのだが、
今回はその中からこの二つをスクープさせて頂いた。
最後に、今回、主役を務めたお二人に殺陣の感想をコメントして頂いております。

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【坂戸】
殺陣は…。始めた頃は、特に運動不足の身体にかなりひびきましたです。
しょっぱな15分木刀を振っただけで腕が上がらなくなったのには本気でビビりましたからね(笑)
これは年のせいか??と。
型を覚えるのも本当に遅くて、毎回「あれっ?…あ、ちがった…。あれ??」ってなったり…。
もぉー!!とにかく、やるっきゃない!!
松本さん、高宮さんに、何度も何度もご指導頂き、家の近くの公園で振ってみたりとにかく必死…。
というか、焦りなのか…。
だって、抜刀も納刀も、袴に刀を納めることも、なにもできないんすから、

必死になるだろっ!!

てか、危機を感じますよね!!危機!!! 運動不足の私は毎日筋肉痛ですよ…。
手のマメも潰しましたし、足の小指を平台にぶつけたりもしました!!
とにかく、稽古したつもりです。で、
本番で失敗しました!!…なんでかなぁ〜。せちがらいなぁ…。
しかし…。そんな事も含めて、楽しかったんですよねぇ〜。
ある程度、形になってからはひたすら楽しかったです。そう、この頃には筋肉痛も無くて。
今回、沢山のアドバイスをいただいて、つたないながらも本番を終える事が出来…。
あの…。多少の失敗(多少かなぁ……。)はありましたが、本当に良かったです。
何より、今回私が絶対稽古場の蛍光灯を割るだろうと言われていたのですが、
一度も割りませんでした。あの…。割ったのは、小田さんと石田くんです。
(熊谷さんも割りました〜!!By:石田)
私じゃなかったぁーー!!
あ、ちなみにお二人(三人)とも割った時はどんべこみでしたよ♪
はい。こんな感じですかね。いやぁ〜本当に良かったぁ(私じゃなくて)。
皆様、本当に有難うございましたぁ。

【椎橋】
殺陣で一番大変だったのは相手との息を合わせることでした。
自分一人でやると怪我をしてしまうので…練習中もよく言われました…
後は刀の認識です。
斬れたら死んでしまう物で斬りあう恐怖は表現が難しかったです。




充分な鍛錬が行われていない俳優による殺陣を見ると
「機械的に武器を振り回している」様に見える事さえあるが、
優れた殺陣には、演者自身の肉体を含めた武器の動かし方は勿論の事、
姿勢(構え)・足運び等の立ち居振る舞い・演技としての流れの美しさが
要求されている……。



劇団はこれからも、素晴らしい殺陣、そして笑いを見て頂けるよう、
それぞれが精進していく次第である。……マジで。

                                            了。